相続の基本

平成29年5月の法定相続情報証明制度の施行に伴い、この制度に関するページを新設した、司法書士アクセスブック「よくわかる相続」の改訂版が出たので、紹介します。

PDFデータとして日本司法書士連合会のホームページにありますので、ご利用ください。
司法書士アクセスブック「よくわかる相続」

相続する権利がある者とは

遺産を受け継ぐことができる人として、まず法定相続人があげられます。

法定相続人とは、法律で定められた相続の権利を有する人で、配偶者と被相続人(亡くなった人)の子(直系卑属)・直系尊属・兄弟姉妹に大きく分けられます。

配偶者

配偶者とは、婚姻関係にある夫婦の一方のことで、夫にとっては妻、妻にとっては夫を指し、以下の相続人とともに、常に相続人になります。

配偶者は、婚姻届さえ出ていれば、たとえ別居中でも相続権があります。
また、いくら夫婦のような関係にあっても、婚姻届のない内縁関係の場合は配偶者とは認められず、相続人にはなれません。

子(直系卑属)

被相続人に子がいれば、第1順位で相続人になります。

婚姻関係にある男女間の子(嫡出子)も、婚姻関係にない男女間の子(非嫡出子)も相続権があります。
また、養子も実子と同様に相続人になります。

養子は実親の相続人にもなります(特別養子の場合を除く)。

(※)
原則として6歳未満の子を養子とするもので、実親より養親による養育が子の利益になる場合に認められる養子縁組

被相続人よりも前に子が亡くなっていた場合には、孫がその子に代わって相続人になります。
この孫のことを代襲相続人といいます。

このほか、子が生存していても孫が相続人になるときがあります。
たとえば、子が相続欠格とされたり、相続人から排除された(P19「こんな人は相続できない」参照)などの要件にあてはまるときです。

直系尊属

父母、祖父母、曽祖父母などを指します。

直系尊属が相続人になれるのは、被相続人に、子も孫もいないケースのみです。
親等の近い者が優先的に相続人になります。(※)

(※)
被相続人に子供が相続放棄をしたときは父母・祖父母・曽祖父母などが相続人となりますが、父母の一方が死亡している場合でも祖父母の一方が相続人になることはなく、父母の一方が相続人となります。

父母が2人ともすでになくなっていたり、父母が揃って相続放棄をした場合には、祖父母が相続人となります。

実際には、孫の財産を祖父母が相続するという登記はしたことがありません。
事務所のある四万十市・黒潮町など幡多郡部が田舎だからでしょうか(笑)

不動産の相続だからで、預貯金の相続ってケースはよくありそうです。

兄弟姉妹

被相続人に子も孫も直系尊属もいない場合、その人の兄弟姉妹が相続権を持ちます。

被相続人よりも前に兄弟姉妹が亡くなっていた場合には、甥姪がその兄弟姉妹に代わって相続人になります。
なお、兄弟姉妹に代わって相続人になれるのは、甥姪までです。(※)

(※)
昭和56年の民法改正以前は、兄弟姉妹の子の子、そのまた子と、ずっと下まで代襲相続人となっていました。

これら法定相続人のほかに、遺産を受け継ぐことができるのは次の人たちです。

受遺者

遺言によって財産の受取人として指名された者を指します。

特別縁故者

法定相続人にも受遺者にも該当する人がいないとき、家庭裁判所に被相続人と特別の縁故があったことを申し立て、それを認められた者

親等(しんとう)とは?

親族関係の遠近を表す単位です。
世代数を数えて決定されます。
数が少ない方が親等が近くなります。

1親等が父母、2親等が兄弟姉妹、おい・めいが3親等、いとこは4親等。