うちの事務所は田舎の方なので、比較的男なら長男が、女なら姓の変わってない人が遺産を相続をするってことが多いように思います。
相続の基本の項で記した通り、民法では親が亡くなった場合の子の相続分は、兄弟姉妹すべてに均等に配分することになっています。
一方、わが国では昔から親は長男夫婦と同居する傾向が強く、この場合、長男や長男の嫁が何かと親の面倒をみているようです。
このため、長男が他の兄弟姉妹より相続分を多く主張し、遺言がなかった場合などには兄弟間で遺産の配分をめぐってトラブルが発生しがちです。
親と同居していることで経済的メリットを受けている場合が。
長男が親の面倒をみていることが、他の兄弟にとっては負い目になり、遺産相続のときに「仕方がない」という考えを生んでしまう根拠になるのでしょうか。
都会に住む次男のTさんは奥さんも仕事をしている共働き夫婦であり、二歳になる子供が一人います。
Tさんの兄(長男)は実家の両親と一緒に住んでいるため、両親に子供を見てもらうことができますが、次男のTさんは日中保育園、夕方はベビーシッターを頼み、二重保育の生活を余儀なくされています。
住宅ローンの返済や教育資金の積み立てを考えると今後とも共働きをやめることができません。
このようなケースを考えると、長男が親の面倒をみているということで遺産を「多く」もらうという考えにはちょっと疑問も出てきます。
たとえば、長男は親と同居しているため他の兄弟のように家賃や住宅ローンの心配がない、あるいはTさんのように子供にお金がかかる第三者に預けることもなく、安心して共働きできるなど、むしろ長男には経済的メリットが多いケースがあるのです。
「これだけは知っておきたい相続のポイント」より
日本司法書士連合会
2010年4月 6日