不動産に関する遺産相続・遺産分割・相続放棄・相続問題など、相続登記に関する相談を無料で承ります。

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新着情報


2023年12月28日
NEW! 相続登記無料相談会が来年2月に開催。相続登記の義務化に備えてください。

2023年10月19日
「遺言と成年後見制度 講演会&相談会(無料)」を、高知県民文化ホールで開催します

2023年1月22日
2月は高知県司法書士会主催の相続登記無料相談会があります。

2023年1月22日
相続登記の費用はいくらかかりますか?

2022年1月2日
相続登記に関する無料相談会を開催します。>高知県司法書士会

2021年10月2日
公証人による遺言、老後の財産管理などを公証人がアドバイスする電話公証相談会

2021年9月24日
相続登記に添付する除籍と被相続人の年齢

2021年9月24日
法定相続人情報を利用しての相続登記

2021年3月15日
土地の相続登記は、評価が10万円以下なら登録免許税が無料

2021年3月7日
高知県司法書士会に相続登記相談センターを開設

困ったときには司法書士に聞いてみよう「相続登記をしないと」

困ったときには司法書士に聞いてみよう「遺言書が出てきたぞ」

司法書士は、あなたの身近な相談相手です

遺産相続がよくわかる

司法書士アクセスブック~よくわかる相続より

・相続の基本
・遺言
・予期せぬ相続人が現れた
・相続人が行方不明。どうすればいい?
・プラスの財産とマイナスの財産
・こんな人は相続できない
・寄与分
・生前の贈与 ――「特別受益者」とは
・相続人が未成年のとき
・養子縁組と相続
・不動産を相続したら、まず登記
・これらが司法書士の主な仕事です

相続に関するスケジュール

1.死亡=この瞬間から相続は発生する

2-1.遺言書の有無を確認する
2-2.遺産や債務の状況を把握する
2-3.相続人は誰かを確認する

3-1.適式な遺言書がある → 4へ
3-2.遺言書がない → 5へ

4.公正証書遺言や、検認(P.10参照)を受けた自筆証書などがあれば、その遺言にしたがって相続手続きを行うことができる → 13へ

5-1.財産のほか債務も含めて権利関係のすべてを相続したい=単純承認 プラスの財産>マイナスの財産 → 6へ
5-2.相続によって得た財産の限度で弁済したい=限定承認 プラスの財産<=マイナスの財産 → 9へ
5-3.限度相続を放棄したい==相続放棄 プラスの財産>=マイナスの財産 →10へ

6.相続人全員で遺産分割協議を行う
7.遺産分割協議書を作成する
8.遺産の名義変更手続き(登記など)を行う → 13へ

9.相続が始まったことを知ってから3ヵ月以内に、相続人全員が共同で限定承認の申立てを家庭裁判所に行う → 13へ

10.相続が始まったことを知ってから3ヵ月以内に、相続法規の申立を家庭裁判所に行う(複数の相続人のうち、単独でも行える) → 13へ

13.相続の開始を知った後、なにもしないで3か月が過ぎてしまったら・・・自動的に債務を含めて「単純承認」をしたことになる

相続の基本

相続する権利がある者とは

遺産を受け継ぐことができる人として、まず法定相続人があげられます。
法定相続人とは、法律で定められた相続の権利を有する人で、配偶者と被相続人(亡くなった人)の子(直系卑属)・直系尊属・兄弟姉妹に大きく分けられます。

配偶者

配偶者とは婚姻関係にある夫婦の一方のことで、夫にとっては妻、妻にとっては夫を指し、以下の相続人とともに常に相続人になります。
配偶者は婚姻届さえ出ていれば、たとえ別居中でも相続権があります。
また、いくら夫婦のような関係にあっても、婚姻届のない内縁関係の場合は配偶者とは認められず相続人にはなれません。

子(直系卑属)

故人に子がいれば、第1 順位で相続人になります。
婚姻関係にある男女間の子(嫡出子)も、婚姻関係にない男女間の子(非嫡出子)も相続権があります。
また、養子も実子と同様に相続人になります。

養子は実親の相続人にもなります(特別養子の場合を除く。原則として6 歳未満の子を養子とするもので、実親より養親による養育が子の利益になる場合に認められる養子縁組)。

故人よりも前に子が亡くなっていた場合には、孫がその子に代わって相続人になります。
この孫のことを代襲相続人といいます。このほか、子が生存していても孫が相続人になるときがあります。

たとえば、子が相続欠格とされたり、相続人から排除された(「こんな人は相続できない」参照)などの要件にあてはまるときです。

直系尊属

父母、祖父母、曽祖父母などを指します。
直系尊属が相続人になれるのは故人に子も孫もいないケースのみです。
親等の近い者が優先的に相続人になります。

兄弟姉妹

故人に子も孫も直系尊属もいない場合、その人の兄弟姉妹が相続権を持ちます。
故人よりも前に兄弟姉妹が亡くなっていた場合には、甥姪がその兄弟姉妹に代わって相続人になります。
なお、兄弟姉妹に代わって相続人になれるのは、甥姪までです。

これら法定相続人のほかに、遺産を受け継ぐことができるのは次の人たちです。

受遺者

遺言によって財産の受取人として指名された者

特別縁故者

法定相続人にも受遺者にも該当する人がいないとき、家庭裁判所に被相続人と特別の縁故があったことを申し立て、それを認められた者

相続財産とは

相続の対象となる遺産は、土地建物や預貯金などといったいわゆるプラスの遺産ばかりではありません。
故人の借金などマイナスの遺産もその対象となるのを忘れてはいけません。

誰にどれだけの相続分が?

民法では相続人の相続順位と相続分を次のように定めています。

CASE.1 相続人が配偶者と子のケース

配偶者が全遺産の1/2を、子が1/2を相続します。子が複数いるときはこの1/2を均等に分けます。
子が3人いれば子1人あたりの相続分は全遺産の1/2×1/3=1/6になるわけです。
配偶者がいなければ(死亡・離婚等)、子のみが全遺産を相続します。

CASE.2 被相続人に子がいないケース

配偶者が全遺産の2/3を、直系尊属が1/3を相続します。
配偶者がいなければ、直系尊属が全遺産を相続します。

CASE.3 被相続人に子も直系尊属もいないケース

配偶者が全遺産の3/4を、兄弟姉妹が1/4を相続します。
兄弟姉妹の相続分は原則として均等に分けます。
ただし、父母の一方が異なる場合の兄弟姉妹の相続分は、父母双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の1/2となります。
配偶者がいなければ、兄弟姉妹が全遺産を相続します。

遺言

遺言(ゆいごん、いごん)とは、死後の法律関係を定めるための最終意思の表示をいい、法律上の効力を生じせしめるためには、民法に定める方式に従わなければならないとされています(民法960条)。

遺言がある場合とない場合ではどう違う?

相続をめぐるトラブルは、遺言書がなかったことが原因となる場合が多くあります。
亡くなったKさんには子供も直系尊属もいなかったため、遺産を妻とKさんの兄弟が相続することになりました。
兄弟の中には死亡している者もいて、その子供が相続人になっており、調べると法定相続人は30人にも達することがわかりました。

このような子供のいない夫婦の場合、夫が生前に「妻に全財産を相続させる」との遺言書を書いておけば、妻は全財産を誰に遠慮することなく相続できるのです。
遺言とは、自分の考えで自分の財産を処分できる明確な意思表示です。
遺された者の幸福を考える上でも、遺言は元気なうちにしっかりと書いておくべきです。

正しい遺言書を残すには

将来のトラブルを未然に防ぐためにもぜひ書いておきたい遺言書。
ただ、たとえ夫婦でも、同一の書面に二人で一緒に遺言すると無効になります。遺言には次の種類があります。

普通方式

自筆証書遺言

手軽に作成できるもので、全文を自署し、日付・氏名を入れ、押印することが必要です。
内容の秘密保持には適していますが、偽造・変造・滅失・隠匿・未発見のおそれがあります。

秘密証書遺言

内容を記載した遺言書(自筆である必要はありません)に遺言者が署名押印し、封筒に入れて封印し、公証人と証人に提出してその確認を受けます。

公正証書遺言

証人二人以上の立会いのもとに公証人が遺言書を作成します。偽造・変造等のおそれはなく、公証人が内容を確認できますので、後日無効になる心配もありません。また他の遺言方法と異なり、後に家庭裁判所での検認(下記参照)手続が不要となり、遺言中で遺言執行者を定めておけば、不動産の名義変更にも便利な方法です。公証人の費用が必要ですが、もっとも安全で確実な方法といえます。

特別方式

危篤時遺言・隔絶地遺言

死亡の危急に迫った者や、遭難した船舶中にある者などが行えるものです。

検認

遺言書(公正証書による遺言を除く)の保管者またはこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その「検認」を請求しなければなりません。
また、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封しなければならないことになっています。

検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状・加除訂正の状態・日付・署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。
遺言の有効・無効を判断する手続きではありません。

遺言で何ができるのか

相続分の指定

誰にどの割合で相続させるかを指定できます。民法の法定相続分(P.7,8 参照)を変更できます。

認知

婚姻届を出していない男女間に生まれた子を、親が戸籍上の手続きによって自分の子だと認めることです。遺言によって認知されてもその子は相続人になれます。

遺贈や寄付による財産処分

遺産を特定の相続人や法定相続人と関係ない第三者に贈ったり(遺贈)、公益法人などに寄付できます。

こういった事柄のほかに、遺言では、後見人と後見監督人の指定/相続人の廃除や廃除の取り消し/遺産分割方法の指定またはその委託/相続人相互の担保責任の指定/遺言執行者の指定または指定の委託/遺留分減殺方法の指定などができます。

遺言があまりにも不公平で納得できない場合は─「遺留分」

いざ遺言書を開けてみると、全財産を老人ホームに寄付するというものだった。
あるいは相続人のうちの一人だけに土地・建物を相続させると書いてあった。
残された者にとってあまりにも不公平な内容だったという話はよく耳にします。

こんなときのために、遺留分という制度があります。
遺留分とはたとえ遺言者の意思が尊重されるとしても、最低限度これだけは相続人に残しておかなければならないという、いわば遺言によっても奪われない相続分のことです。

民法では遺留分は次のように規定されています。

(1)兄弟姉妹には遺留分はない
(2)直系尊属のみが相続人である場合は全遺産の1/3
(3)上記以外の場合はすべて全遺産の1/2

もし、遺言に納得できないときは、遺言の要件が整っているか、まず確認すべきでしょう。
そして遺留分が侵されていたら、それを取り戻す権利があります。これを減殺請求権といいます。
遺留分の減殺請求は、相続の開始および減殺すべき贈与または遺贈があったことを知ったときから1年、相続開始後10年で時効になりますので注意してください。

予期せぬ相続人が現れた

先妻の子も後妻の子も身分は同じ

事 例 父親と先妻との間に子がいたと判明。
しかし見知らぬ者には遺産をやりたくない……。

Bさんの父親が死亡。母は3年前にすでに他界しています。
相続人は長男のBさんと妹ですが、妹はすでに結婚して家を出ており、父の残した土地と家はBさんが相続するとの合意がなされています。
しかし、Bさんが戸籍謄本を調べると、母との結婚は2度目で、先妻との間に男の子が一人いることがわかりました。
ふと、Bさんは以前母がいっていたことを思い出しました。
「父さんが先妻との間で『今後一切迷惑をかけない、子供の相続権も放棄させる』との念書を取っているから大丈夫だ」と……。

このケースでは、先妻に関してはすでに離婚しているので相続権はもちろんありません。
しかし、その子については、亡くなった父親との婚姻中の子供ですので、法律上は嫡出子の身分を有しており相続権があります。
苗字が違ってもなんら影響はありません。

また、たとえ子供の相続権を放棄させるとの念書が取ってあっても、法律的には効力がありません。
後妻の子であっても、先妻の子であっても相続の上では権利は平等です。
このケースでは、Bさんはやはり父親と先妻との間の子に一度会って話し合わなければ何も進まないのです。

婚姻関係にない男女間の子も認知によって相続人になれる

婚姻関係にない男女間の子であっても、父親の認知によって相続人になることができます。
認知はふつう父親が戸籍上の届け出をすることによって行われます。
また、遺言の項で述べたように、認知は遺言でもできます。

認知のないまま父親が死亡したり、認知を拒否された場合は、強制認知といって認知を求める裁判を起こすことができます。
認知されれば相続権が与えられます。
後々のトラブルを防ぐには、父親はそのような子がいることを家族に知らせ、きちんと認知し、父親としての責任でしかるべき遺産分与方法を考えておくべきでしょう。

相続人が行方不明。どうしたらいい?

相続人の中に行方不明の人や、生死すらわからない人がいると、遺産の分割協議ができず困ったことになります。
その場合は、次のような措置を講ずることができます。

不在者財産管理人をおく

共同相続人の一人が行方不明の場合、他の相続人が家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらうよう申立てができます。
不在者財産管理人は、行方不明の相続人の財産の目録を作り、それを保管できる権限を持ちます。
また、不在者財産管理人は家庭裁判所の許可を得れば、他の相続人と遺産分割の協議をすることができます。

失踪宣告を申し立てる

行方不明者の生死が7年間不明であった場合、親族等は家庭裁判所に失踪宣告(一般失踪宣告)の申立てをすることができます。
失踪宣告を受けた者は7年の期間満了時に死亡したものとみなされ、戸籍謄本にもその旨が記載されます。

失踪宣告には船が沈没したり、その他の事故などに遭った者の生死が不明のとき申し立てることができる失踪宣告(危難失踪)もあります。

相続人が外国にいるときは?

最近では、海外に赴任している人も多く、相続が発生したときに、すみやかに相続人全員が集まれるとは限りません。
このような場合、その相続人のいる国の日本大使館や領事館等から在留証明書、署名(サイン)証明書もしくは拇印証明書を取り寄せて、相続手続を行うことができます。

在留証明書

海外で生活する日本人につき相続人としての権利が発生した場合は、外国における現住所を証明する書面を添付して、相続登記申請等をする必要が生じます。
その際は、その日本人が海外に在留していることを証明する在留証明書を在外公館(日本大使館、総領事館)に発給申請をします。

署名(サイン)証明書・拇印証明書

日本では不動産登記申請等で印鑑証明書の添付が必要となります。
しかし、日本に住民登録がなければ日本の役場に印鑑登録ができません。この「署名(サイン)証明書」は、海外在留日本人が印鑑証明書を必要とする際に、印鑑証明書の代わりに在外公館が発行するものです。
また、拇印証明書が必要となる場合は、拇印証明も併せて行います。

プラスの財産とマイナスの財産

親が亡くなって遺産が入ると思っていたら、何と借金ばかりだった……。
でも怒ってばかりはいられません。
相続開始を知ってから3 ヵ月を過ぎると、単純承認といって、借金や債務までも一切を含めた遺産を引き継がなければならなくなるからです。
親の残した借金に苦しめられそうな場合、相続人はどのような手を打てるのでしょうか。

プラスかマイナスか不明の場合、または借金が多いと予想される場合は「限定承認」を

仮に遺産の総額が1 億円で、借金が1 億2000 万円だった場合、限定承認をすればこの2000万円分については責任を負わなくてもよいこととなる方法です。
つまり、相続によって得た財産の限度で債務を弁済する相続の形です。
この限定承認をするためには、相続開始があったことを知ってから3 ヵ月以内に、被相続人の住んでいた地域を管轄する家庭裁判所に申立てをします。
限定承認は、相続人全員の意思が一致していなければなりません。
また、ひとたび限定承認の申立てが受理されると、撤回することはできません。

マイナスがはるかに多ければ「相続放棄」を

父親が遺産の総額をはるかに超える額の借金を残して亡くなりました。
子にはどのようにしても返済できる額ではありません。

この場合、子は相続権そのものを放棄することができます。
相続放棄の申立ては、やはり相続開始があったことを知ってから3 ヵ月以内に、父親の住んでいた地域を管轄する家庭裁判所に行います。
もちろん債権者は借金を取り戻したいですから、子に対して返済を請求したいのですが、相続放棄が認められると、子ははじめから相続人とはならなかったとみなされ、債権者は返済を請求できなくなるのです。

もともと引き継がなくてもいい債務もある

事 例 亡き父親は、知人が就職する際の身元保証人になっていたが、その知人が勤務先に甚大な損害を与え、多額の賠償請求がきた


このような場合、民法では「被相続人の一身に専属したものはこの(相続財産の)限りではない」として、故人でないと果たせない義務、代理のきかない性質の債務は引き継がなくてもいいことになっています。

こんな人は相続できない

「相続欠格者」となれば何も相続できない

事例 Sさんの弟はふだんから素行が悪く、いつも警察沙汰のトラブルが絶えませんでした。ある日、父親から注意された弟はカッとなって父親を殺してしまいました。こんな弟にまで父親の遺産を相続させるべきなのでしょうか……。

民法には、相続人が相続権を失う相続欠格という制度があります。
Sさんの弟が裁判で有罪になった場合には、Sさんの弟に相続権はありません。

相続欠格に該当する事項

(1) 被相続人または自分より先順位で相続人となる者、あるいは自分と同じ順位で相続人となる者を殺したり、殺そうとして刑に処せられた場合。これはあくまでも故意による殺人または殺人未遂に限られ、過失致死はこの対象に含まれません。

(2) 被相続人が殺されたことを知っていながら、告訴または告発をしなかった場合。ただし、その相続人が未成年のときや精神病などで是非の判断能力がないとき、あるいは殺した犯人が自分の配偶者や直系血族(父母、子、孫等)だった場合は除外されます。

(3) 詐欺や強迫によって被相続人が遺言書を作ることを妨害し、または遺言書の取り消し、変更を妨害した場合。

(4) 詐欺や強迫によって被相続人に遺言書を書かせたり、取り消しをさせたり、変更させたりした場合。

(5) 被相続人の遺言書を偽造、変造し、これを破棄したり隠したりした場合。

相続欠格にあたらなくとも相続人を「廃除」できる

非行を繰り返す息子がいて、「こんな子には何も相続させたくない」という場合、相続人の廃除という制度があります。
「遺留分を有する推定相続人が被相続人を虐待したり、重大な侮辱を加えたり、または相続人として著しい非行があるときは、被相続人は生前に家庭裁判所に申し立てて、この人の相続権を取り上げることができる」と民法で定められています。

これは遺言でもできます。

ただし、相続人の廃除は極端な事由でもない限り、裁判所はなかなか認めないようです。
親の好き嫌いによって一方的に相続人から外されないようにとの考えからです。

寄与分

故人へ特別の貢献をした相続人に、より多く認められる利益─「寄与分」

事 例 一生懸命、亡父の看病をしてきたのに、兄弟たちが虫のいい均等相続を主張してきた。
長女のM子さんは一生独身を通して父の看病をしてきました。母はずっと以前に他界。しかし父が亡くなると他の兄弟たちがその遺産について法定相続に則した取り分を主張してきました。父の看病を少しも手伝わなかった身勝手な兄弟たちにも、均等に遺産を分けないといけないのでしょうか。

民法では相続人のうち、故人の生前における財産の維持や増加、あるいは故人の療養看護などの特別の貢献があった者については、遺産分割において、法定相続分によって取得する額を超える遺産を相続できると定めています。
ですから、何もしないほかの兄弟に代わって父の看病をしていたM子さんの苦労は認められるわけです。

このように、被相続人に寄与をした相続人が得る利益のことを寄与分といいます。
寄与分の額については、原則として相続人間の協議によって定められますが、協議がまとまらないときは、寄与をした者が家庭裁判所に対して寄与分を定めてほしいと申立てできます。
寄与分は相続人だけに限られ、内縁の夫や妻、亡くなった夫の両親の介護をしてきた妻などには認められていません。

生前の贈与――「特別受益者」とは

生前に被相続人から受けた贈与を特別受益と呼び、生前贈与を受けた者を特別受益者といいます。

特別受益には、次のような事柄が該当します。

・遺言によって相続分とは別に遺贈を受けた者
・結婚や養子縁組のために費用を出してもらった者
・生計の資本として贈与を受けた者──店や会社を設立するための資金を親に出してもらった、特定の子供だけが多額の学費を出してもらった、家を建てる資金を援助してもらった等。

特別受益者は相続のとき減額される

相続人が何人もいる中で、故人から生前贈与を受けた人と受けなかった人が両方いる場合、これを無視して遺産分割を行っては不公平になり、トラブルの原因になりがちです。

そこで民法では、現実に残された財産と、生前贈与された財産を合計したものを相続財産とみなしています。
ですから、現実に残された財産があったとしても、生前贈与を受けた相続人には何も受け取るものがないという場合もあります。

事 例 わけもわからないうちに特別受益証明書に印鑑を押したために、長男が自分だけの名義で登記してしまった。

生前の贈与を受けたことがないのに特別受益証明書を出してしまうと、前述のように自分が受ける相続分が少なくなったり、全部なくなってしまうだけでなく、自己の相続分を他の相続人に贈与したと認定されてしまいます。
このケースのように、わけもわからないうちに安易に判を押してしまった場合は、その行為の無効を裁判等で主張すれば対処できる可能性があります。

相続人が未成年のとき

母親であっても、未成年の子の相続の代理をすることはできない

事 例 夫が突然死亡した。遺言書はない。子供は小学生が一人。遺産分割をする際にはどんな注意が必要?

この場合の相続人は妻と未成年の子ですが、今の時点で相続人の争いがなくても、遺産分割では潜在的には共同相続人の間で利害が対立する可能性があります。

ですから、相続人の一人が他の相続人を代理することや、同一人物が複数の相続人を代理することは禁じられています。

このケースでは、母親は子の代理人になることはできないのです。

未成年については「特別代理人」を選任してもらう必要がある

親権を行う父または母と、その子との間で利益が相反する行為については、親権を行う者はその子のために特別代理人の選任を家庭裁判所に申し立てなければなりません。
つまりこのケースでは妻が、選任された特別代理人(伯父、伯母など身内の人になってもらう例が多い)との間で遺産分割を行うことになります。
もし妻が特別代理人を選任しないで親権者として子を代理して一人で遺産分割を行った場合は、この遺産分割は無効になります。
ただし、子が成人した後にその遺産分割を承認すれば、分割のときにさかのぼって効力を生じます。

特別代理人

未成年者も相続人になれますが、名義変更などの遺産分割手続は法律行為ですから、法定代理人が必要になります。
通常は、法定代理人は親がなりますが、相続にあたっては、親と子の利益がぶつかった場合(利益相反行為)、親が子の相続するはずの財産を奪って、親だけに都合のよい遺産分割を行ってしまう可能性があります。

そのため、特別代理人を選任する必要があるのです。

養子縁組と相続

後継者のいない事業の承継などに

「相続の基本」で、養子は実子とまったく同じ相続権があると述べました。

たとえば、夫が妻の父親から「ぜひ家の事業を継いでほしい」と頼まれたとき、妻の父親と養子縁組の手続きをしておけば、妻と同等の相続権を得ることができ、事業をスムーズに引き継ぐことができるのです。

養子縁組は本来、養子となる子の利益のためにある制度ですが、このように後継者のいない事業の承継などに役立つ場合もあります。
また、すでに結婚している者が養子に行くときは、夫婦の一方の同意を得れば一人で養子縁組をすることも可能です。

事 例 養子に出した子がいるが、夫が死んだ場合その子は夫の相続人になれるのか?

これも「相続の基本」で述べたとおり、養子は実の親の相続人でもあります。
養子縁組によっても実の親との間の親子関係が消えるわけではありません(特別養子の場合は親子関係が消える)。

また、養子に出された子にも当然遺留分があります。
養子は実の親の相続人にならないのではないかと一般に思われがちなので、相続が開始したときに、養子に
出された子の兄弟たちが納得せずにトラブルになってしまう例もあり、注意が必要です。

再婚するとき、養子縁組をすれば再婚相手の子も相続権が得られる

子供を連れて再婚したとき、婚姻届を出しただけでは、その子供と再婚相手との間には血のつながりがないので、他人のままです。

この場合、子供と再婚相手との間で養子縁組の手続きをしておけば、法律上も親子となり、通常と同じように相続人となります。
子連れで再婚する夫婦では、血のつながらない子と養子縁組をしておくことが、将来に問題を残さないための方法ともいえるでしょう。

不動産を相続したら、まず登記

相続によって不動産を取得した場合、それが自分のものであることを他人に主張するために登記をするのであり、登記しなければ罰せられるというわけではありません。
「相続権のある私たち以外に遺産が行くわけがない」と考える人もいるようです。

しかし、これで本当に大丈夫でしょうか。

不動産をめぐる相続問題は、とかくスムーズにいかないことも多くあります。
つまり登記をしておかないと、後々、困ることが起きるのが不動産相続の常識と考えておいたほうがよいでしょう。

登記をせずに放っておくと、権利関係が複雑になる

たとえば、被相続人の残した不動産について、相続人A、B、Cの間でAが相続するということで話し合いがうまくまとまったので、安心して放置しておいたら、相続人の一人であるCが亡くなってしまったというケースは意外と多くあります。

この場合、ただ話し合っただけだったとしたら、Aの名義に登記をするためには、亡くなったCの相続人D、E、Fを加えてもう一度協議をしなければなりません。
この協議がまとまらないうちにB が亡くなってしまったら、Bの相続人G、H、I、Jも協議に加えなくてはなりません。

そうこうしているうちにA が亡くなってしまったら……。

長い間登記を放置しておくと、相続権のある人が次第に増えて、遺産分割協議が整うことが難しくなります。
登記手続に必要な書類も多くなり、不動産をめぐる法律問題をさらに複雑にさせます。

森林の荒廃が、環境を壊すことになる

山林の所有者が亡くなった場合に、相続登記をして所有者を明確にすることは、近年叫ばれる環境問題にも大きく関わりがあります。
全国には森林所有者が加入する森林組合があり、森林の手入れなどをお手伝いしてくれますが、所有者がわからないと手入れが行われなくなり、荒廃が進んでしまいます。
間伐などで森林を健全な状態に保つことにより、水害や土砂崩れなどの災害が起きにくくなり、野生動物の住みやすい環境をつくるのです。

これらが司法書士の主な仕事です

●不動産の登記手続について代理すること

大切な財産である土地や建物の売買や相続、抵当権や賃借権などの設定といったさまざな権利変動について、登記の専門家として、手続きを代わって行います。

●簡裁訴訟代理等関係業務

 簡易裁判所における紛争の請求額が140 万円以下の事件について、民事訴訟や民事調停の代理人となったり、裁判外での和解交渉に当たります。
また、法律相談を受けて紛争解決への助言をします。

なお、これらの業務は法務大臣から認定を受けた司法書士(認定司法書士)が行うことができます。
また、認定司法書士は、土地の境界に関する紛争について、筆界特定手続の代理や相談も受けます。

●裁判所へ提出する書類の作成

裁判の訴状や答弁書、調停や破産・民事再生の申立書などの書類を作成します。
また、離婚など家庭の紛争に関する手続きや財産に関する保全や差押手続などの書類の作成もします。

●会社・法人の登記手続について代理すること

 会社や各種法人を設立したり合併するなどの登記手続や、増資・役員変更などの登記手続を代わって行います。
また、新「会社法」に基づき、個々の会社の実態に沿えるように企業法務の役割を担います。

●成年後見業務

判断能力が不十分な状態にある人を支援する制度が成年後見制度です。
司法書士は、法律専門家の中で最も多く成年後見人に選任されています。
高齢者を抱えた家族や高齢者自身が納得できる生活を送るために、専門家である司法書士が適切なアドバイスを行います。

相続の手続の場合においても、判断能力が不十分な状態にある人が相続人中にいると遺産分割協議が出来ないので、裁判所で成年後見人を選任してもらい遺産分割協議をすることになります。

●供託手続について代理すること

明渡しや賃料の増額を要求する家主が、家賃を受け取ってくれないとき、家賃を支払ったのと同じ効果を発生させる「供託」という手続きを代わって行います。

●その他

以上のほか、検察庁に提出する書類(告訴・告発状など)や帰化申請書のような国籍に関する書類など各種書類の作成を行います。
また、遺言書作成をお手伝いし、遺言執行者となることもできます。